癒しフェア内において、アボリジニアートが展示されます。アボリジニはオーストラリア大陸に４・５万年前から住む先住民族で、遥かなる時を大地や風、水と暮らしてきた。彼らには土地を売ったり買ったりする観念はなく、地球に人間の方が属しているという考え方をする。いわば地球民族だ。

今回は、内部の砂漠地帯に住んでいるアボリジニの作品がたくさん登場する。その絵を紹介してくれるのがアボリジニコーディネーターの内田真弓さん。

「アボリジニは狩猟民族です。狩をするとき、彼らは歌と踊りで大地に挨拶をしてからはじめます。そんな彼らは文字を持たず、水のありか、貴重な生物の居所などの情報を暗号化して、身体や大地に描き仲間に伝えてきました。実はそこには、ドリーミングと言われる彼らの先祖の時間を越えた天地創造の世界観も描かれています。そうやって何万年もの間、部族の秘密を守りつつ確実に継承し続けているのです」

生きていくために描かれてきたものが、今ではアボリジニアートとして世界でも認められる芸術となっている。その点描画は、まさに現代アートのようであり、時に日本画のようでもあり。見る人を惹きつけてやまないのは、そこに人間に共通する無意識の世界が描かれているからだろうか……。

内田さんは、許された者のみが許された場所で、世界存立の神秘の一部を知ることができる“Women's Meeting”という重要な儀式にも日本人代表として参加をしている。５月の下旬にもまた仲間として儀式に加わっているはず。砂漠のど真ん中でどんなに過酷な状況でも、魂が震えるような感覚を覚えるという彼らの儀式。しかし、その多くは公表することが許されていないそうだ。

それでは今後、許される範囲で教えてもらいながら、アボリジニとの涙あり大笑いありの生活を内田さんに披露してもらおう。それはまた次回の話。