ココロの染みを洗い落とす、桂 小金治師匠のお話
噺家であり名司会者でもある、桂 小金治師匠。先日、銀座にある画廊さん主催のパーティでお話をされていました。小学生のときに見た「それは秘密です」の人だ、なんてワインを傾けつつ聞いていると……。
凛とした声が響いてきました。聞くともなく聞いていると、草笛の音が。懐かしいなぁ。なんて胸に響いてくるんだろう……。子供のときに吹いた覚えがあります。誰に教えてもらったんだろう? でも、難しくって吹けなかった。師匠は高音も低音も出し切ってまさに素敵な自然の音楽を奏でていました。胸の垢を落とすようなメロディーにすっかり聴き入っていると、「演奏家ではないので、この辺でお話をしましょうか」と仰って子供のころの思い出を語られました。
昔(日本が貧しかった時でしょう)、お腹があまりに空いて、「目の前の畑の大根を少し貰いましょうよ」と、お父様に仰ったことがあったそうです。するとお父様は「貰う? 盗むの間違いだろう。自分をごまかしてはいけないよ」というふうにお答えになったとのこと。そうして師匠は盗むことをしなくてすんだそうです。“朱に染まれば赤くなる”という言葉があるように、人間は影響を受けやすい、と師匠は仰っていました。確かにそうかも。ちょっとしたことで怒ってみたり、その気分を引きずってネガティブになってみたり。他人の感情に巻き込まれたり、巻き込んでみたり。なんて揺れやすいんだろう。ポジティブに言い換えれば順応性が高い、とも言えるだろうけれど。私の心にもたくさんの染みがある。それは気づかないうちに付いている。ただ、師匠の草笛の音とお話で少しは漂白できたかも。
「どうか白いままでい続けてください」という桂 小金治師匠の言葉を聴きながら、癒しフェアに来ていただきぜひお話をしてもらおう、と決めていた。
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