ダイヤモンドに魅入られた男(出展者様でーす)の
“歯の移植”という、実に奇妙で身になる話
始めて迫社長とお会いした時「今、歯を移植中でね。豆腐くらいしか食べれないんだよ」とお聞きし、私は移植という単語に喰らいついたのでした。だって皆様、歯の移植よ、聞いたことございますぅ〜!? 彼は入れ歯からインプラントにするのではなくて、虫歯でもう使えなくなった小さな歯をキレイにして必要なところに埋め込み移植することで、第3の歯を育成中だったのです。
歯は目に見える唯一の骨。歯が寸分狂えば、肩こり頭痛がするといわれるほど大切な器官。今まで癒しフェアでも、歯をホリスティックに考えて治療に当たる事で全世界的に有名な、藤井 佳朗先生の講演が毎回大盛況でした。多少の違いはあれ、噛み合わせ、虫歯、歯の美観etc誰でも歯には関心があるのでは。
アルカダイヤモンド[ URL ]の迫社長はEAVという機器を使ってダイヤモンドと持ち主の相性を調べるというお仕事をなさっているだけあって、歯の治療も妥協がなかったのです。
以下は彼からの手紙です。
「〜歯が生えました〜
実は私にとって、「歯が生えました」というのが正直な気持ちです。私は大学の4年の時に東京の渋谷の歯医者に行きました。親知らずが横に生えていて(埋没の状態でした)少し痛かったので、その歯医者に通ったのです。
私の親知らずの4本のうち2本が横に生えていました。それも二股に分かれている方があごの骨にあたり、親知らずの頭のほうが奥歯の下部に当たっていました。親知らずが奥歯を押すのですから当然奥歯が痛くなるのです。その先生はとても若く一生懸命で、私の歯のレントゲンを持って大学病院まで行って相談をされていました。親知らずを半分に割って抜く方法しかないという事で、そのときは怖くて抜けず、抜くのは断念しました。今から30年前の話しです。また、痛みも消えたのでそのままにしてきました。
そして10年前、その親知らずが急に成長を始めたのです。奥歯を押すわけですから奥歯がぐらぐらし始めました。当時は仕事も忙しかったし、痛かったので近くの歯医者に行ったら奥歯の手前から4本全部抜きましょう、ということで奥歯が2箇所、すべて歯がなくなり入れ歯になってしまいました。奥歯が入れ歯になると思うように噛めません。するとその入れ歯の噛み合せ側の奥歯もおかしくなり、治療を続けては、抜き、そんなことを続けているうちにほとんどの奥歯がおかしくなり、若くして奥歯はすべて入れ歯になるのかもしれない、と感じて始めていました。
そんなときに、現在通院している岡山県倉敷市の玉島という田舎の歯医者を友人より紹介してもらいました。行ってみたら、病院の建物は古い、しかし沢山の患者があふれんばかりの大盛況でした。半信半疑で順番を待っていると、私の初めての治療の時に、先生は猛烈に怒り出すのです。本当に怖いぐらい。『こんな治療をして本当に腹が立つ、こんな治療をすると歯がなくなってしまう。歯を一度抜いたら生えてこないのだから』と私を怒っているのでなく、私の治療をしたいままでの歯医者に対しての憤りでした。
それから今までの治療の状況を説明してくれました。レントゲンを採って、説明開始。今までの治療は全て中途半端です。治療済みの歯も根幹治療が完全にできていません。こんな治療をするから、今の歯もいずれだめになるし、歯槽膿漏になるような治療だというのです。治療の仕方によっては、ごみがたまりやすくなってしまう。
今回治療に行ったのは、歯槽膿漏になってぐらぐらしていた歯(以前も治療している奥歯の入れ歯の反対側の歯)を抜いてもらおうと思っていたからです。しかし、その奥歯も根幹治療ができていないというのです。『奥歯の被せをはずしたらきっとその歯は真っ二つになっているよ』というのです。しかしどうせ抜くのなら、その歯を奥歯として植えてやるというのです。つまり移植をするというのです。本当に驚きの連続でした。
これから私の半年に渡る治療が始まりました。移植をする前に今までの治療している歯を全部やり直して、治すというのです。移植は最後。それから2日に一回のペースで歯医者通いをしました。今までの治療した歯の被せの金属をはずすたびに驚きの連続でした。虫歯部分を完全に取り除かず、そして根幹治療が不完全なままで被せをしている奥歯の再治療をすることに。被せをはずすと、本当に歯は真っ二つ。つまり被せをしていても虫歯は進行しているのです。
他の全ての歯を治療が終わり、さて本番の移植です。歯槽膿漏で抜く予定の歯を抜きそれを磨きなおして歯がまったくないあごの骨に穴を開けて、それを木槌で打ち込むのです。
確か20回ぐらいは叩いていたと思います。まるで大工仕事です。歯を抜きそれを磨き、あごに穴を開けて木槌で打ち込む。その治療を2箇所行いました。しかし移植したところはあまり痛くありません。歯槽膿漏で抜いたところの方が痛いぐらいでした。
そうやって奥歯の一番奥に歯が生まれるのです。できた奥歯と手前の歯を利用して自分の歯がどんどんできていくのです。まるでマジックを見ているようでした。
先生は今までにすでに20年以上移植を行ってきた大ベテラン、毎日午後一番は移植手術を行っているのです。
治療が全て終わり、これで通院しなくてもよいとほっとしたところ、又先生に怒鳴られてしまったのです。歯はケアーが一番大事。どんなに移植をしても、歯茎の掃除に1週間に一度は来いというのです。
この歯医者は本当に安い歯医者です。本当に忙しい歯医者さんです。ドクターが2人、看護婦さんが6人ぐらいいても、本当に全員猛烈に忙しく仕事をしています。治療をすればするほど、ケアーの患者が増えます。一人20分ぐらい歯の掃除にかかるのに数百円の治療費です。移植自体も大変安くビックリします。
時々はお金を取らないときもあるのです。どうしてお金を取らないのですか?と聞くと、この治療は自分の失敗だから、この場所は無償でいいというのです。自分が悪いときには、患者に謝るのです。そんな医者を今まで見たことはありません。そして高いお金は取らない、なぜかというと治療は全ての人が受けられないようでは本当の医療とはいえない。高い金を取る気はないというのです。
私は大先生の大ファン、しかし時々癇癪を起こして怒鳴りちらす事があります。最初は驚きましたが、看護婦さんも若先生(息子さん)も患者さんもいつものことと知らん顔、大先生は誰も相手にしてくれないので、仕方なく怒るのをやるのです。
こんな先生が世の中に沢山いれば本当にいいのに……。私達患者はどの先生がよくてどの先生が悪いのか、判断できません。移植という方法があるということをこの歯医者で始めてしりました。この大先生とずーっと付き合っていきます。そして時々大先生に誘われて飲みに行くのです。とても人間的で、父親的、そして名医を目指す子供のような純粋な先生です。
ちなみにこの歯医者は、宮尾歯科、先生の名前は宮尾亨先生です。そして私の高校の大先輩でもあります。
最近私が東京に出店をするためにしばしば出張をすると、とても心配してくれます。人生はとても素敵なものですね。生きていけば行くほど本当に素晴らしい人に出会い、そしてたくさんのことを学び、友達ができ、その人に生き様を見ると、自分の人生の生き方まで考えさせられます。この先生にお会いするたびに自分の人生の生き方を反省しています。
人に自慢できる生き方をしているかと?
関西宝飾株式会社
代表取締役 迫恭 一朗