小野綾子の癒しフェア探険記 - 第一弾 -

新幹線といえば“ゆで卵”である。キオスクで買って乗り込むたび、その絶妙な塩加減には思わず頬ずりしたくなるほどだ。そして、その日の“ゆで卵”はまた、格別な味がしていたのだと思う。何せ、東京から向かっていた目的地が、年に一度行われているという“大阪　癒しフェア”の、その会場だったのだから。癒しフェアとは、世の中の癒しに関連するさまざまな物や人や情報が、束になって“フェア”になっているというお祭である。それはもはや仮設のパワースポットと呼んだっておかしくないわけで。ああ、大阪の、その場所が“おいでおいで！”と私を待っていた！

到着したのは、お昼を少しまわった頃であっただろうか。すでに会場は熱気に湧いていて、人気のブースには、順番を待つ長い列。この、“癒しフェア”の醍醐味とは、癒し関連の商品を一気に購入することができるだけでなく、人気の施術師さんやら話題のサロンなどが一堂に出店してくれているため、いろんなことをちょっとずつ、しかも一気にお試し体験できる、というところにある。

私における、今回の目的は二つ。ひとつめは、その日の朝からものすごい勢いで発症していた“花粉症”を緩和できる手段を見つけること。そして二つ目は、何か新しい“驚き”を発掘すること。花粉症に関しては、日本ホメオパシー協会のブースにさっそく、緩和を期待できるというホメオパシーセット“スプリング”を発見！　さらにぴったりなものを処方するには、個別の診断を受けたほうがベターということで、予約を入れてもらうことにする。無論、予約までの時間を無駄にするつもりはなくて、そのまま、フェアという名のパワースポットをくまなく巡礼。

と。ブースの一角に、ニコニコと穏やかな気を発する女性の姿が目についた。曼荼羅の掛け軸の前には、よくお寺においてあるような金属の鉢が、ピカピカと並んでいるではないですか。

「あのぉ。コレ、何ですか？」

「これは、シンギングボールと言いまして、チャクラの上に乗せ、音を響かせることで波動を整えてゆくものなんです。人間の身体は７割が水でできていますから、その水を震動させることは、とても気持ちのいい癒し効果をもたらしてくれるんですよ」

その説明を聴き終わらないうちに、靴を脱ぎ、施術ベッドに横たわっていたのは、これは絶対に気持ちいいに違いないと、直感したからだったけど。

額、胸、お腹のチャクラで、坊さんの鉢がグワングワンとハーモニーを奏でると、もはや、体は宙にでも浮いているかのような心地よさ。花粉症のグズグズと、肩コリの症状が、気持ち改善された気がしてくる。何よりも、頭のつまりがふーっと消えていた！

「や、ヤバいかも、これ」目を開けた先には、恍惚の表情に集まってきたギャラリーの顔、顔、顔。「これ、気持ちいいっすよ。マジで。やってみたほうがいい！」ギャラリーの中からひとりを招き入れると、探検隊・オノリョーコ、施術師の手の足りないところを補いながら、シンギングボールをしっかと押さえ込み、アシスタントに転じていたのだった。

頼まれてもいないのに。大阪市天王寺区からの出店であるという『プンダリカ気功院』、リョーコ的、お気に入りリストにリスティング終了。額のチャクラのクワンクワンがたまらない！

さてさて。チャクラを全開にし、沖縄そーきソバで腹ごしらえを済ませると、癒しフェアは、いよいよ２周目に突入である～～～！

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